top of page

リークヴァレーのお話

昔々、川の流れる谷の合間にクリークヴァレーと言う街がありました。

ある時、街に旅のフリークショーがやって来て、公演のために森の近くでテントを張り出しました。

街人達はこの不気味な連中が自分達の街に滞在する事に、我慢なりませんでした。

「すぐに出て行け、化け物め!」

汚い言葉を浴びせながら、めいめい手に武器を持ち、テントを取り囲む街人。

フリークスは「迷惑はかけない」と言いましたが、街人は収まらず、1人のフリークをスコップで殴りました。

団長の目の色が変わりました。

「そこまで言うのなら支度をして、明日の朝一番に出て行きましょう」

約束を取り付けた街人は、それ以上手は出さずに街に帰っていきました。

 

 

しかしその晩、みんなが寝静まった真夜中にフリークスは街に忍び込み、街人達に襲いかかりました。

怪我をしたのは、大切な団長の一人娘だったのです。

 

あっと言う間に谷間の穏やかな街は地獄と化しました。

 

男は殺され、女は犯され、子供はさらわれました。

 

それ以来この街で生まれる子供と言えばみんな奇形児で、いつしかクリークヴァレーはこう呼ばれるようになりました。

フリークヴァレーと――……。

​そして舞台は、事件から53年後の現代、2021年へ……。

bottom of page