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台本より一部抜粋​

6人
22分くらいの劇


♀アガ:アガサ/男嫌いの元絞殺魔
♀マー:マーガレット/元女優の頭お花畑

♂♀ビリ:ビリー/新入り。記憶喪失(のちに復活)/正体はカルト集団の神様
♂♀エヴ:エヴァン/自称殺人アーティスト
♂♀ロー:ローレンス/一番礼儀正しいが残忍な子供殺し

♀オリ:オリヴィア/世話役の修道女


♀スヴ:スヴェトラーナ/悪い奴の親玉

♂♀人1~3:ビリーの記憶の声
♂♀敵1~5:スヴェトラーナの護衛
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ビリ「(走る声→止まって肩で息をする)しまった、インカムがどこかに……ああ、完璧に迷った……。……っ、無理だよこんなの、絶対おかしい、あり得ない、あり得ない……! ……? あの部屋、ドアが開いてる……。……?」


スヴ「(引き金をひく息遣い)」


(銃声)


ビリ「うわっ!」


スヴ「子供……!?」


ビリ「う、撃たないで、やめて!」


スヴ「なんで子供がここに居るの! 表の騒ぎはなに!?」


ビリ「知らないです、僕は関係ない!」


スヴ「(舌打ち)なんだってのよ……! あんたは誰なの!」


ビリ「あ、あの、僕、あ……」


スヴ「誰の差し金!?」


ビリ「あ、う、あの……」


スヴ「もういい、一緒においで、人質にするわ!」


ビリ「や、やめて、来ないで!」


スヴ「!? 銃……!? ……あんた何者なの!」


ビリ「分かんないんです、お願いだから近づかないで……!」


スヴ「こんな子供が、暗殺者なわけ? なんの冗談なの?」


ビリ「僕は誰も殺したくない……!」


スヴ「ああそう。じゃああんたは殺さなくて良いわ」


(銃声)


ビリ「あ゛っ! (引き金を引く息遣い)」


(銃声)


スヴ「う゛っ」


ビリ「あ……」


スヴ「……嘘でしょ……」


ビリ「あ、ああ、あああああ、違う、そんな、そんなつもりじゃ……!」


スヴ「うぅ(荒い呼吸)」


ビリ「ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、僕、僕……!」


スヴ「誰か呼んできて……お願い……」


ビリ「でも……!」


スヴ「私を殺したくないんでしょ……!?」


ビリ「(怯えた息遣い)」


スヴ「私は悪くないの、全部夫のせいなのよ……私はやらされてただけ、本当は麻薬なんて売りたくなかったの……! 私は被害者よ、だから、ね、今すぐ誰か呼んできて……! 坊や、お願いだから……!」


ビリ「あ、う……」


スヴ「~~~っ、さっさと呼んでこいつってんでしょ、このクソガキ! うぅああ……ああ、こんな死に方なの、うそでしょ……こんな、こんな、ガキに撃たれて一人で死ぬなんて……嫌ぁ、嫌よ……助けて、お願い……!」


ビリ「(怯えた息遣い)」


(囁き声で)
人1「助けて……」


ビリ「うぅっ」


人2「お願い」


人3「お願いです」


ビリ「(だんだん荒くなる呼吸)」


スヴ「助けて、お願いよ、ああそんな……神様ぁ……!」


ビリ「!」


人1「神様」


人2「神様」


人3「お願いです」


人1~3「神様!」


ビリ「(思い切り息を吸う音)」


スヴ「(すすり泣き)」


ビリ「ああ、そうだ」


スヴ「ああ、神様……」


ビリ「それが僕の名前だ」


(銃声)

 


エヴ「……? !? お前!」


ビリ「エ、エヴァン……」


エヴ「お前がやったのか!? 一人で!?」


ビリ「違うんだ、僕、そんn」


エヴ「答えろ!」


ビリ「事故だったんだよ! 彼女が撃ってきたから反射的に、撃ち返したら……」


エヴ「……なんでだ。なんでお前だ、これは俺の役目だ! ボスを殺すのは俺の見せ場のはずだ! なんでお前が!」


アガ「ちょっと! なにもめてんだよ、ターゲットはやったの?」


エヴ「おかしい、どうしてだ、これは俺のはずなのになんで……」


マー「やだ、ビリー大丈夫!? 血が出てる!」


ビリ「腕にかすっただけだよ……。……っでも、撃たれたのなんか、初めてで……!(すすり泣き)」


マー「ああ、よしよし。怖かったわね」


ロー「ビリー! よかった、生きてて……君がやったのか?」


アガ「面白いとこ見逃したわ」


ロー「そうか……とにかく、お疲れ様、よくやったよ。オリヴィア」


オリ「ローレンス、ビリーは見つかった?」


ロー「ここに居るよ、彼が任務を終わらせた。それから多分、僕らはこの屋敷の護衛を全部殺したと思う。ビリーは右腕を負傷しt」


オリ「撃たれたの!?」


ロー「傷は浅い、かすっただけみたいだ。でも血が出てるから手当てしないと」


オリ「分かった、全員速やかに戻って来て」


マー「さあビリー、行きましょう。お手柄ね、初任務で大活躍だったわよ!」


ビリ「(すすり泣き)」


アガ「(あくび)」


ロー「……エヴァン、行こう」


エヴ「……。(舌打ち)」

 

オリ「ビリー! ああごめんなさい、貴方なら大丈夫だと思ったのよ、もっとしっかり準備させるべきだった……!」


アガ「オーバーだよ、オリヴィア」


マー「あーん、あたし泣いてる男の子に弱いのよね、ハグしてあげたい!」


ロー「あんまりジロジロ見てやるなよ、ほら、僕らは先にバンに乗ってよう」


エヴ「……。」


オリ「すぐに手当てするわ。痛いわよね、ごめんなさい……!」


ビリ「イヴ」


オリ「! ……今……今、なんて……?」


ビリ「イヴ」


オリ「ああ……神様……!」


ビリ「そう、僕だよ」


オリ「(感極まった呻き声)」


ビリ「普通のふりを。連中に変に思われないように。まあ、君なら、子供の傷に胸を痛めて泣いてもおかしくないけど」


オリ「記憶が戻ったんですね……!」


ビリ「ああ。僕の遺言をちゃんと守って行動してくれたんだね。君のおかげで僕はここに居るんだ。僕が居ない間、苦労をかけたね、よくやってくれた」


オリ「とんでもないです、貴方の為なら、なんだってします……!」


ビリ「有難う、僕のイヴ。もう寂しい思いはさせないよ。前回は失敗したが、今回は違う。今度こそ世界に革命を起こし、僕らの理想郷を手に入れよう。散り散りになった家族を集めて、幸せに暮らすんだ。永遠に」


オリ「ああ……!」


ビリ「さあ行こう。神は忙しいんだ」


エヴ「何かがおかしい……」


アガ「まだ言ってんのかよ」


マー「ほっときなさいよ、新人にいいとこ持ってかれて僻んでるんだから」


エヴ「あいつは何かある、でなきゃ俺がこれで終わるはずがない!」


ロー「エヴァン。たまには君以外が主役でも良いじゃないか。彼は今日が初任務だったんだよ」


エヴ「……いいや。主役は俺一人。あいつにそれを、分からせてやる……!」

 


ビリ「個人の人格を形成するうえで最も大切なものは何か。記憶? 環境? 魂? 今の僕ならはっきり分かる。答えは、欲望だ」

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