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台本より一部抜粋​

人数:不問:2人


・11分くらい

キャラクタ
♂♀宇宙:宇宙人/ウチュウジン/人間に見える宇宙人
♂♀小山:コヤマ/連れ去られた人間


******************************
小山「……? ……?」

宇宙「あ」

小山「あっ、良かった人が来た! すいません、気が付いたらここに居たんですが、一体ここはどこでしょうか?」

宇宙「ここですか? ここは母船です」

小山「はい?」

宇宙「ですから、ここはUFOの母船の中です。この部屋はラボアルファ。まだ頭が痛むと思うので、どうぞ診察台に横になっていてください」

小山「いや、あの、え、UFO?」

宇宙「はい。大変恐縮なのですが、あなたを誘拐させていただきました」

小山「え、誘拐!? そんな、うちは全然裕福じゃないし、私なんか誘拐しても、なんの得にもなりませんよ!」

宇宙「どうぞお気になさらず。私達が興味があるのは、あなたの体ですから」

小山「私の体? ……あ、あの、あなた誰なんですか?」

宇宙「あ、申し遅れました。わたくし、宇宙人と申します」

小山「宇宙人!? 自己申告!?」

宇宙「えっと、名刺どこやったかな……」

小山「え、名刺あんの!?」

宇宙「あ、あったあった。こちらを」

小山「あ、はい……。うわあ宇宙人って本当に書いてある」

宇宙「気軽に、ジンって呼んでください」

小山「ジンって名前だったの!?」

宇宙「はい」

小山「ウチュウ・ジンなの!?」

宇宙「はい。失礼ですが、あなたのお名前は?」

小山「小山ですけど……」

宇宙「小山さんですねー……」

小山「あの、何してるんですか?」

宇宙「データに記録してるんです。実験した人のデータは全部保管しているんで」

小山「実験!?」

宇宙「宇宙人が地球人をさらう理由なんて、実験しかないじゃないですか」

小山「……ああ……。(鼻で笑う)」

宇宙「何してるんです?」

小山「カメラ探してるんですよ」

宇宙「カメラ?」

小山「どこのドッキリですか? たち悪いなあもう。私こういうの好きじゃないんですよ。ほら、ネタばらししてください。怒りませんから」

宇宙「ネタばらし」

小山「ええ」

宇宙「夜道を歩いていたあなたをコンフューザーガンで撃って気絶させ、スカウトポッドに乗せてこの母船まd」

小山「違う。いつまでその設定続けるんですか。こんなセットまで作って……どこのテレビ局です? 一般人にこういう悪戯するのはよくないですよ。これ以上続けるなら、訴えますからね」

宇宙「コンフューザーガンで撃つと大脳皮質に軽いダメージがあるので、どうしても一時的に眩暈や頭痛と言っt」

小山「そうじゃない! あの、私の話きいてますか?」

宇宙「はい?」

小山「はいじゃなくて! こんなおふざけに付き合ってる暇はないんですよ! 明日も仕事があるし、さっさと家に帰してください。ここはどこなんですか?」

宇宙「現在我々は地球の上に居ます。窓から見えますよ」

小山「もうやめてくれませんか、そろそろ怖いんですけど」

宇宙「あ、いけない、窓をあけていませんでしたね、これは失敬。フロントビューシールド、オープン」

小山「良いから早く出口をうぇえええええええええ!?」

宇宙「あ、ほら、見てください、オーロラですよ。綺麗ですねえ」

小山「ち、地球!? あれ地球!?」

宇宙「はい」

小山「そんな馬鹿な、こ、これあれでしょ、全部スクリーンなんでしょ!? 映像映してるんだ、そうに決まってる!」

 

宇宙「あ、NASAのシャトルだ」

小山「NASA!?」

宇宙「元気かなあ、ジョン」

小山「知り合い!?」

宇宙「いやあ、この間宇宙嵐に遭遇したとき、たまたま彼を助けたのが縁で、すっかり仲良くなって」

小山「し、信じない、私は信じないですよ! 出口はどこです、帰ります!」

宇宙「駄目ですよ、あなたがた地球人は、宇宙空間に生身で出ていけませんから。空気ないし」

小山「あれは宇宙じゃない、全部偽物だ! このUFOの母船も、あなたが宇宙人だって言うのも、全部嘘だ!」

宇宙「(奇声を発する)」

小山「なんですか今の」

宇宙「くしゃみです」

小山「この人宇宙人だああああああ!」

宇宙「いやあ失敬、最近スペースダストアレルギーなもので」

小山「あんな、あんなくしゃみする人間、居ないもの……! 紛うことないよ……!」

宇宙「くしゃみで信じて頂けるとは思いませんでしたが、とにかく、誤解が解けてなによりです」

小山「それじゃあ、私は本当に、宇宙人に誘拐されてUFOの母船の中に居るんですね……」

宇宙「はい。突然の誘拐で、本当、恐縮です」

小山「なんで私だったんですか」

宇宙「特に理由はありません。ランダムでサンプルは選んでいるので」

小山「特に理由もなく宇宙人に誘拐されたのか……え、ま、待ってください、あなたさっき、私で実験するって言いましたよね!?」

宇宙「はい」

小山「そ、そんな、お願いです、やめてください、死にたくない!」

宇宙「大丈夫ですよ、死んだりしません。気合があれば」

小山「気合の入れ具合で生死が決まるってどういう事ですか! 嫌ですよ、一か八かみたいなの!」

宇宙「死にたくないなら、一緒にがんばりましょう!」

小山「良い笑顔で……。だって、あれですよね、宇宙人の人体実験って言ったら、お尻から変な機械突っ込まれるんですよね!?」

宇宙「いえ、耳からですよ」

小山「うわあそれもやだなあ……あれですか、こう、両耳からぐりぐりーって脳みそ弄るみたいな……」

宇宙「両耳? 耳は一つですよね?」

小山「え、二つですよ。ほら」

宇宙「えっそれ耳なんですか!?」

小山「そうですよ、これが耳ですよ! なんだと思ってたんですか!」

宇宙「お尻」

小山「今まで、色んな人間で実験したんですよね!? 物凄い初歩の初歩で間違ってますよ!? じゃあ、耳はどこだと思ってたんですか?」

宇宙「ここがそうだと」

小山「そこがお尻ですよ!」

宇宙「どうりで! 聞こえづらいと思っていたんですよ」

小山「あ、だからあなた、さっきからちょっとガニまただったんですね!?」

宇宙「こうしないと、耳の穴に音が届かなくて」

小山「完全にお尻の穴です、そこは」

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