台本より一部抜粋
人数:6人
性別:男性:4人 女性:2人
・18分くらい
キャラクタ
♀デス:デス/自称死神。犯罪集団のサイコなボス。顔の下半分をドクロのマスクで覆っている
♂カジ:カジモド/デスの右腕。寡黙に淡々と仕事をこなす。デスを愛している
♀キャ:キャンディ/パンク系の少女。デス信者で、デスのためなら何でもする
♂ハン:ハングドマン/本名ジュード・コールマン。元警察。現アンチヒーロー
♂バロ:バロン/警察署署長。警察時代はジュードの良き上司/友達だった。
♂スナ:スナッフ/元プロレスラー。薬物の過剰使用により精神に異常をきたした。目立ちたがり
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スナ「ふー……ふー……っ。殺したりないぃ……」
キャ「あー、居た居た」
スナ「んー……?」
キャ「やだ、久しぶりに見たけど汚いー」
カジ「スナッフ、俺達を覚えてるか?」
スナ「なんだお前ら、俺様のファンか?」
カジ「……駄目そうか」
キャ「だってこいつチョー頭悪いじゃん」
スナ「なんだと!」
キャ「ちょっと、それ以上近づいたらそのディックヘッドに穴開けるわよ!」
スナ「ぶち殺してやる、俺は無敵のスナッフ様だ!」
デス「スナッフ」
スナ「!」
キャ「あっ、ボースー!」
デス「久しぶりだな」
スナ「デス……」
デス「刑務所暮らしで少し痩せたんじゃないか? ん? ちゃんと食わないと、筋肉が落ちるぞ」
スナ「刑務所の爆発はお前のおかげらしいな。礼を言っておこう、とりあえずな」
デス「お前が逃げてくれて良かったよ。俺はお前を気に入ってる」
スナ「ふん、当たり前だ。俺は強いからな! 何人か俺を抑えようとしやがったが、全員捻りつぶしてやった!」
デス「それで悪党に返り咲きか。おかえり。でも残念ながら、ちょっぴり事情が変わったんだよ、この町の」
スナ「あ?」
デス「今のご時世、強いだけじゃやっていけなくてなあ。俺達悪人も、同盟を結んで協力しないとならないんだよ。分かるか? 俺達と手を組むんだ」
スナ「お前の手下になれって事か!」
デス「違う違う違う、上下関係はない。確かにボスは俺だが、俺達は家族になるんだよ。良いか、お前は誰よりも強い。だが、お前一人じゃ出来ない犯罪ってのもたくさんあるんだ。もっと上等な悪党になりたくないか。気が向いた時だけ適当に人を殺してたら、野生のクマと変わりゃしないぞ。ちっとも有名になれない」
スナ「……有名に、なれないのか、今のままじゃ」
デス「自分が殺したんだと、世間に知らせるんだ。お前はあんまり頭が良くないからその方法を知らないが、俺は知ってる。毎日テレビにお前が映るぞ。想像しろ。お前の名前を聞くだけで、この町の人間は全員震えあがる。誰よりも有名な犯罪者になれるんだ。……それに今なら、特別に特攻隊長にしてやる。最初に敵に突っ込んでいく大役だ。一番目立つ」
スナ「……お前の仲間になったら、俺を有名にしてくれるんだな?」
デス「それだけじゃない。カジモド」
カジ「はい、これです」
デス「ジャジャーン!」
スナ「その薬は……っ!」
デス「こいつは忘れるはずないな、お前の可愛い子ちゃんだ。一粒飲めばそのたるんだ筋肉も元通り、鋼みたいになるぞ」
スナ「あああ……あああ……!」
デス「刑務所ではこの子とデート出来なかったもんなあ、ん? 俺達と一緒に来れば、いつでも薬をやれる。もっともっと強くなれるぞ」
スナ「た、頼む、今薬をくれ、一粒で良いんだ!」
デス「仲間になるか?」
スナ「なる、なるから!」
デス「聞いたか、二人とも。歓迎しろ、新しい家族だ!」
キャ「また男、しかもカジよりむさ苦しい! ボス、もっと可愛い子連れてきてくださいよ!」
カジ「喚くな、キャンディ」
キャ「可憐な乙女が居る環境じゃないのよ、それくらい頭使わなくても分かるでしょ、デクノボウ!」
カジ「じゃあ出ていったらどうだ」
キャ「はあ!? あたしがボスから離れる訳ないでしょ、脳みその代わりにマシュマロ詰まってんじゃないの!?」
カジ「うるさい……」
デス「騒がしい家族で悪いな。すぐ慣れる、歓迎するぜスナッフ」
スナ「頼む、薬をくれ、デス……! もうだめだ、我慢できない、死んじまう……!」
デス「大丈夫、お前がいつ死ぬか決めるのは、この死神の役目だ。……はい、お口アーン」
スナ「(必至に飲み込む声)」
デス「フフフフ……さて、お次」
デス「先に自己紹介をさせてくれよ、ハンギー。長い付き合いになりそうだ」
ハン「自己紹介?」
デス「俺の家族さ! マスコミ諸君の前で俺は高らかに宣言したいのだ、俺達が、誰であるかを! まず俺、死神のデス! そして、俺の右腕カジモド、俺のお気に入り、キュートなキャンディ! おいそこのカメラ、ちゃんと撮ってるか! ま、オリジナルメンバーはこの三人だ。そして今日はもう一人紹介したい、最近入ったばっかりの息子でね」
ハン「!」
スナ「フーッ、フーッ……!」
デス「レディースアーンジェントルメン! ご紹介しましょう、かつてはスナップと言う名でプロレス界の頂点に君臨した男、薬を飲めば獰猛な殺人マシーンに一瞬で大変身する、スナッフだ!」
スナ「殺す、殺す……!」
バロ「逃げろ、ハングドマン! 一人じゃ無理だ! 私は気にしなくて良いうぐう……!」
キャ「やーだ、正義の味方ぶっちゃってさー。なんならあのカウボーイがあんたの心配しなくて良い様に、舌でも噛み切ったらどうなの?」
バロ「あんまり大人を馬鹿にすると、お仕置きされるぞ、お嬢ちゃん……!(頭突きをする声)」
キャ「(悲鳴)」
バロ「(立ち上がり、駆け出す声)」
カジ「させるか!」
バロ「うわっ、ぐう!」
カジ「元気なじいさんだな。キャンディ、大丈夫か」
キャ「は、は、鼻、鼻、血、血、血……!」
ハン「バロン……!」
バロ「良いから行くんだ!」
ハン「お前を残せるものか!(走り出す声)」
デス「あー、せっかくかっこよく紹介したのに台無しじゃないか。行け、スナッフ。殺さない様にな。終わったら、彼女とデート出来るぞ」
ハン「はあっ!」
スナ「ぬう……痛くないぞ」
ハン「! く、ぐあ!?」
スナ「ッハハハハ、弱いぞ! 何がハングドマンだ、俺がお前を縛り首にしてやる!」
ハン「その太い指じゃ、ロープは結べないだろう!」
スナ「うおっ、グアッ!?」
デス「鎖だ……!」
スナ「遠距離から卑怯な、男らしく拳で戦え!」
ハン「悪党に説教される覚えはない! ハッ!」
スナ「ぐう! ぐ、う、こんな鎖引きちぎってやる……!」
デス「(興奮した息遣い)ヒッ、ヒヒ、ヘハ、ヒハハハ!」
ハン「!?」
デス「デヤアッ!」
ハン「ぐおっ!」
スナ「うおっ。デス?」
デス「クックックック、くふ、フヒヒ、駄目だあ、我慢できないもの」
ハン「貴様……!」
デス「遊ぼうぜえ、ハンギー。はあ!」
ハン「くっ、ハア!」
デス「グウッ、フハ、フハハハ、ハアッ!」
ハン「クソッ……!」
デス「楽しいな、ハンギー! 楽しいな!」
ハン「黙れ、気違いめ!」
デス「俺が!? 俺が気違い!? ハハハハ! 殺す奴はちゃんと考えてる俺はイかれてて、誰も彼も殺しちまうお前は正常だって言うのか!」
ハン「俺は悪党しか殺さない! 悪党は皆死ぬべきだ!」
デス「ああ、悪い奴らに何かされたのか、小さなカウボーイ君。お人形とられたの?」
ハン「お前も殺してやる、今、ここで!」
デス「うおっと、ハズレ! ンフフフ、人間は死ぬ時って言うのが決まってるんだ。それを無理に終わらせる事は、俺はしない。例えどんな悪人でもだ。それを、お前は、ヒーローのお前は、簡単にやっちまう。悪党の俺が死を大切にし、ヒーローのお前がそれをないがしろにする。哲学的だな、え?」