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台本より一部抜粋​


人数:5人

性別:男性:2 女性:3

・20分くらい

キャラクタ

♀アリ:アリス・バーナード/パパが好きすぎる18歳。変人

♂ルイ:ルイ・バーナード/帽子屋を営む。奥さんに先立たれて現在独身。娘に迫られ大変な苦労人

♀チェ:チェルシー/アリスの友達。時に共犯者、時によきアドバイザー

♂マー:マーティン/バイトの面接を受けにきたテンション高い青年。馬鹿

♀女:美人。(兼任)

♀エレ:エレナ/ルイ目当てでやって来た美人。性格悪い

*************************************

ルイ「よーし、開店だ。バーナードの帽子屋さん、今日もバリバリ売るぞ!」

アリ「パパ、今日の納品チェック終わったよ。トラスコットは入荷が遅れてるから次の火曜、HMのニット帽はそこのマネキンに被せておいたし、ロビーロビーのほつれがあったやつは梱包して送り返せるようにしといた」

 

ルイ「ありがとう、アリス。助かるよ」

アリ「お礼はキスにして」

 

ルイ「さーて仕事仕事……」(W)

アリ「(唸る)」

チェ「おはよう、アリス」

アリ「チェルシー!」

チェ「新作入荷、今日だったでしょ。見に来たよ。……ワオ、改装もうほぼ終わりだね」

アリ「うん、後はサンドイッチとかコーヒー豆とか、そう言うのが届けばいつでもオープン出来るよ」

チェ「帽子屋の半分をカフェに改造ね。変な組み合わせ」(W)

ルイ「聞こえてるぞ」

チェ「お客さんの意見でしょ、よく聞いて」

ルイ「昔からやりたかったんだよ。見ろよこの店、半分帽子屋、半分カフェ。……ついに夢が叶った……!」

 

アリ「そうだよね、自分で厳選した帽子を売りながら、パパにはこんな光景が見えるんだよ。素敵な帽子を被ったお客さんがお洒落なカフェで寛ぎ、大切な店の中を大切な愛娘がてきぱき働いてる……。(W)……感動よね……!」(W)

 

ルイ「……お前のおかげで完璧な店じゃない事を思い出したよ、ありがとう」(W)

アリ「なんでよ! 自分の娘と自分の店で働けるなんて、父親にとってこれ以上嬉しい事ある!?」

 

チェ「娘が大学に行って一人暮らしして素敵なボーイフレンドを見つけて自分の人生を生きる事とか?」(W)

 

アリ「……チェルシー、親友だから今まで割引してあげてたでしょ? もうしない!」(W)

ルイ「とにかく、今日はバイトの面接があるんだ。面接中は店の事頼むぞ、アリス」

アリ「バイト!? なんで、あたしが居るじゃん! 二人でまわせるよ、だって、カフェだよ? フランス料理のフルコース作る訳じゃないし!」

ルイ「前からバイトを雇うのは考えてたんだよ。もう二人で済むレベルじゃなくなった。喜べよ、うちは儲かってるんだぞ! 今日のディナーは期待しとけよ!」

アリ「ロマンチックで高級なホテルのレストランで二人っきりのディナー!?」

ルイ「イエスって言って黙ってくれるなら。”イエス!”」(W)

チェ「落ち込まないの、アリス。良い事じゃん」

アリ「どこが? 今までこの店はあたしとパパだけの完璧な世界だったのに、あの馬鹿なカフェなんかのせいで邪魔者が増えるんだよ! 馬鹿なコーヒー、馬鹿なサンドイッチ、馬鹿なベーグル、でもケーキは美味しかったのー!」(W)

チェ「だって、考えてみなよ。カフェが出来ても二人だけだったら、一人は帽子屋、一人はカフェで一日中離ればなれだよ? お互いの作業に追われて、会話どころか目も合う暇だってないかも」

アリ「そうか……! チェルシー、あんた天才!」

チェ「知ってる」(W)

アリ「同僚が増えるのは良い事かもね。仕事が楽になるのは嬉しいし、余裕が出ればパパとだっt」

ルイ「やあ、面接に来た子だね」

女「はじめまして」

ルイ「凄い美人だな! 嬉しいよ、さあそこの椅子に」

アリ「……チェルシー、あたしさっき天才って言ったでしょ? 取り消す」

チェ「知ってる」(W)

アリ「あんな美人パパのそばに置くなんて絶対嫌! 阻止してくる!」

チェ「アリス……!」

ルイ「へえ、この近所に住んでるのか。二十五歳、以前はセレクトショップ勤務。良いねえ」

アリ「ハイハーイ!(W)あたし、アリスよ。彼の娘でここの従業員!」

ルイ「あ、ああ、娘だ。家族で経営しててね、従業員は俺と娘だけなんだ。この経歴だと申し分ないs」

 

アリ「ちょーっとお聞きしたいんだけど(W)貴女今二十五歳でしょ? なんでバイトなんか? つまり、バイトって学生時代にするもんでしょ、二十五だったらとっくに就職してないとおかしくない? 何が問題なの?」(W)

女「あの……」

アリ「もしかして物凄くだらしない人間とか? 毎日遅刻するとか、男癖が超悪いとか、ところかまわずオナラするとか、悪魔みたいなネイルしてるとか、笑い声がロバみたいとか!?」(W)

女「……悪いけど、私はここでは働けそうにないわ。さようなら」

ルイ「あっちょっと……! ……アリス!」

アリ「そうよ、振り返らないで走ってお嬢さん! 不思議の国にアリスは二人も要らないの!」(W)

 

ルイ「なんてことするんだ、良さそうな子だったのに!」

アリ「パパにはもっとふさわしい人が居るよ! あたしみたいに!」(W)

 

ルイ「ああ……!」

アリ「気を落とさないで、次の子はきっと良い子だから。(W)じゃあ、仕事戻るね。……上手いもんでしょ」

チェ「上手すぎて混乱したわ。なんであんたと友達やってるんだろうって」(W)

アリ「パパを守るためだもん。良い、一緒に働く人はよーく見極めないと」

マー「あのー、バイトの面接に来たんですけど」

アリ「雇った!」(W)

ルイ「……気にしないでくれ、変な客だ」

アリ「ハイ、あたしアリス、彼の娘でここの従業員よ! そして、貴方の先輩!」

チェ「アリス、まだ面接してないよ」

アリ「なんで、完璧だよ! 男なんだよ!?(W)いつから働ける?」

ルイ「アリス、向こうに行ってろ。面接は店長の俺がやるんだ」

アリ「分かった。……でも合格だよね?」(W)

マー「面白そうな職場」

ルイ「まだ序の口だよ。店長のルイだ、よろしく」

マー「マーティンです、よろしく」

アリ「マーティン! そんな素敵な名前に悪い人なんかいないk」

ルイ「アリス!」

アリ「分かった」(W)

ルイ「……悪いな、煩くて。履歴書もらえる?」

マー「はい。俺ここの帽子大好きなんです、バイト募集してるって聞いて、すぐ応募しました!」

ルイ「あー、待てよ! 今被ってるの……」

マー「ここのです!」

ルイ「ああ、思い出した! よく中折れ帽を買う青年だな!」

マー「そうですそうです! 貴方のセンス最高ですよ、大学に行くと皆褒めるんです! 女の子にもモテモテ」

 

ルイ「雇った!」(W)

アリ「イエー!」

チェ「この店の先行きが不安だわ」(W)

ルイ「アリス、お前の新しい同僚の一人だぞ。挨拶しろ」

アリ「同僚の一人? 彼だけでしょ?」

ルイ「二人雇うつもりなんだ。帽子屋に二人、カフェに二人。ちょうど良いだろ」

アリ「……それ昨日ブロッコリー残したことへのお仕置き?」(W)

マー「あー、俺もブロッコリー嫌いなんだ。ばあちゃん家のタンスの味がするよね」(W)

チェ「……雇ったって言うの、少し早かったかもね」

ルイ「まあ良い、とにかく君は合格だ。今日は時間あるか?」

マー「はい」

ルイ「アリス、店の中を軽く説明してくれ」

マー「よろしく。君がアリスで、君は……」

チェ「アリスの友達、チェルシー。私は従業員じゃないから、気にしないで」

マー「オーケイ、でも僕のお得意さんになってくれると嬉しいな。チッチッ(←舌打ち二回)」(W)

 

チェ「……面接やり直しきかないの?」(W)

アリ「それより、次の人が女じゃないのを祈らないと。マーティンだって、綺麗な女より気の合う男同士の方がやりやすいでしょ、ようキョーダイ!」

マー「いや、可愛い子の方が良い」

アリ「パパに面接やり直せないか聞いてみる」(W)

ルイ「やあ、いらっしゃい、面接の子だな」

エレ「どうも、よろしくお願いします」

チェ「あー、アリス。お祈り効かなかったみたい」

アリ「(息を飲む音)」

マー「ワーオ、超ホット!」

アリ「カリフォルニア! 美人が多すぎる!」(W)

マー「ねえ、彼女合格するかな? あの子が一緒に働いてくれるなら、俺毎日出勤しちゃう」

アリ「期待しないで」

チェ「アリス、人を見かけで判断するのはよくないよ。もし物凄い良い子だったらどうするの?」

アリ「本気? 見てよあのカールしたまつ毛! あのまつ毛に何人の男を絡めとったと思うの!」(W)

ルイ「ワオ、凄いな! 毎週土曜日に恵まれない子供たちのためにボランティア活動してるのか!」(W)

アリ「……オーケイ、でも里親の居ない犬や猫のチャリティ活動はしてない!」

ルイ「本当に? 日曜日は里親の居ない犬や猫のチャリティ活動までしてるのか!」(W)

アリ「……パパに近づく美人が嫌いなの文句ある!?」(w)

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